V-net教育相談事務所

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物語作文「スキーの神様」(作文道場)

『スキーの神様』  市仁三太

冬休みあけの新学期、冬山に住んでいるある男の子は、お母さんとけんかをしていた。
 「あんたね、このスキーウェアを着ていきなさい。」
 「やだ、やだ、やだ、やだー。」
 けんかの原因は冬山のためにスキーウェアを着て、スキー板をはいて登校しないといけないのに、いままで来ていたスキーウェアが小さくなり、お母さんが子どものときに着ていた派手なスキーウェアを着ないといけなくなった。だが、それを男の子は着たくないと言い出したのだ。
 「これを着なさい。着ないと学校に行けませんよ。」
 男の子はしぶしぶ例のスキーウェアを着て学校へ向かった。
 「こんな服を友達に見られたらはずかしいな。」
 そんなことをつぶやきながら、雪道を滑っていると、
 「バボッ。」
 いやな音とともに足もとの雪が消えて、穴ができ、あっという間にその穴にまっさかさま。体がすごい速さで落ちていく。
 「どすん。」
 おしりが床につく。ひりひりするおしりを撫でながら立ち上がると、周りに人が押し合いへし合いして男の子を見ている。そして、男の子を見ていた男性がさけんだ。
 「こいつはサッカーの神様だ。足がこんなに大きいぞ。」
 男性はスキー板を指して言った。
 「そう、ぼくはサッカーの神様だ。」
男の子は怖さのあまりに、うそをつくと男性は、
 「それなら一時間後のサッカーの試合に出てほしい。」
「わかった。それなら僕の言うことを聞いてくれ。ここはどこだ。」
 「ブラジルという国です。」
 「ここはブラジルか・・・。じゃあ、日本という国にぼくを帰らせてくれ。」
 「わかった。でも、サッカーの試合が終わったらな。」
 そして、サッカーの試合が始まった。大きな男が男の子にパスをし、「走れ」と合図をした。うまく走ることができない。それどころか、ボールにつまずき倒れてしまった。それもそのはず、スキー板をはいているからだ。
 「お前はサッカーの神様ではない。ただの足の大きな人間だ。サッカーの神様が走れないはずがない。」
 大きな男が言うと、
 「そーだ。こいつは、こいつはサッカーの神様じゃない。」
 観客席から、ブーイング。男の子はスキー板をぬぎすて、逃げた。殺されると思ったからだ。みんなも追いかける。「だましたなー」とみんなが口々に言う。どのくらい走ったのだろうか。男の子は疲れて、みんなに追いつかれそうだった。その時、サンバの音が男の子の耳に入った。それは派手な格好をした八人組だった。男の子はいい案が浮かんだ。そして、とっさに派手なスキーウェアをみんなに見せながら言った。
 「ぼくはサンバの神様だ。」
 「あなたが、サンバの神様なのね。それなら半年後にひかえたサンバ大会にいっしょに出ましょう。」
 サンバチームのリーダーのオバさんがそう言い、男の子を練習部屋につれていった。スキーウェアを着ながらのサンバは過酷で、男の子は派手なスキーウェアを脱ぎ捨て、裸で逃げた。
そして、ジャングルに着いた。後ろを振り向いてみた。だれも追いかけてこなくて安心した。だが、安心してはいれられない状況になった。サルに囲まれたのだ。
「あいつは、人間だ。みんな、おそいかかれ。」
特別でかいサルは叫んだ。男の子は必死に、
「ぼくはジャングルの神様ターザンだ。」
とうそをついた。サルたちは。男の子のことばを信じた。そして、男の子と動物たちは日が暮れるまで遊んだ。もう八時だろうか。辺りは暗くなり、男の子は急に家が恋しくなった。
「早く家に帰りたいよ。特別大きいサルさん。どうすれば日本に帰れますか。」
「このアマゾン川を下ると滝があり、その滝に飛び込むと日本に着きますよ。」
「うん。わかった。じゃあね。また、今度会おうね。」
男の子はそう言い、アマゾン川を下った。
「これが例の滝だな。」
男の子は覚悟を決め、滝にとびこんだ。
「あら、あんたどうしたの。ずっと帰ってこないで、心配していたのよ。」
滝に飛び込んだ後、男の子は、自分の家の近くの川に流されたのだ。そこを母が見つけ家まで男の子を抱いて帰った。
「やっぱり、ブラジルなんかより自分の家が一番だな。」
外に飾られた鯉のぼりを見つめながら、男の子はつぶやいた。