V-net教育相談事務所

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物語作文「あきらとぼく」(作文道場)

『あきらとぼく』 大智(小5)

ぼくは引っ越した。お父さんの仕事の関係で、イヤイヤついて来た。だから、サッカーチームもやめなければならなかった。
 引越しがひと段落して、サッカーのできる場所を探しに町を見て回ることにして歩いていた。すると、ある男の子が、信号を無視して横断歩道をわたろうとした。ぼくはそこをとめ、注意した。そしたら、その男の子はうなずいた。よく見ると、その男の子は、引っ越す前の友達の顔に似ていた。そして、これからは気をつけろよと言い、見つけた公園に行った。すると、さっきの男の子がついて来た。
 「なんでついて来んの。」
 ぼくは聞いた。
 「うん。」
 「えっ。」
 「うん。」
 「君は変な子だね。信号は無視するし、何を言ってもうんしか言わないし・・・。」
 すると、思いもよらぬ返事が返ってきた。
 「横断歩道って何。信号って何。」
 「ええっ。」
 ぼくはおどろいた。
 「君、ぼくと同じくらいの年に見えるけど、何歳。」
 「分かんない。」
 「えっ。じゃあ、君は・・・。」
 ぼくは言葉がでなかった。
「あっ、じゃあ、もしかして外に出たのは初めて。」
 「いや、初めてではないよ。小さいときに何回か。」
 「えっ。小さい時に。しかも何回か。君、名前わかる。」
 「明。」
 「明君か。」
 すると、明が急に泣き出した。
 「どっどうしたの。」
 「ぼく、小さい時に友達がいなくて、いつもいじめられていたんだ。だから、君が始めてぼくの名前を聞いてくれた人なんだ。だから、うれしくて、うれしくて。」
 「そうだったのか。」
 「いじめられたことがきっかけで、家に引きこもるようになったんだ。そしたら、いつのまにかお母さんもいなくなって、もともとお父さんのいないぼくは、一人になっちゃったんだ。食べ物はとなりの家の人が毎週持ってきてくれる。それで、今日は食べ物をもらう日だけど、なぜかもらえなくて、ドアの前で言っても、もうあげられないって言われちゃって・・・。」
 「それで外に出たんだね。」
 「うん。」
 「でも、ぼくは君の友達だよ。」
 「えっ、本当。ありがとう。」
 「うん。あっ、そうだ。何かして遊ぼうか。」
「何するの。」
 「サッカーしよう。」
 「えっ。」
「そうか。そうだったね。知らないんだった。じゃあ、砂場で遊ぼう。これは簡単で楽しいから。」
 「うん。」
 それから、砂場で遊んだ。明はけっこうハマッたらしく、けっこう楽しんでいた。遊具でも遊んだ。明はジャングルジムとかではけっこう落ちたけど、何回もやり直した。
 遊んでいると、空が暗くなってきた。時計を見ると、もう六時を過ぎている。だから、また明日、同じ場所で遊ぼうと約束した。明はまだ遊びたいと言っていたが、また遊べるからと言って帰った。少し歩くと、ぼくは立ち止まった。
 「そうだ。明君が車にひかれちゃうかも。危ない。」
 ぼくは走り出した。でも、どこに行ったか分からなかった。ぼくはまだこの町を知らないし、迷子になっちゃうかもしれないから、しょうがなく帰った。
 次の日、昨日と同じ時間の同じ場所で待っていた。だけど、いくら待っても明は来なかった。